スタッフブログ

【所長インタビュー】「急性期」から「地域連携」へ。医療と福祉の境界を溶かし、地域包括ケアを創造する。

【所長インタビュー】「急性期」から「地域連携」へ。医療と福祉の境界を溶かし、地域包括ケアを創造する。

所長:齋藤 透

Profile

三郷中央総合病院の循環器病棟で急性期看護に携わり、退院後の生活支援の重要性を痛感したことを契機に訪問看護へ。事業所の立ち上げや管理運営を通して、発達障害のある子どもと家族支援の実践に深く向き合ってきた。現在は日本赤十字看護大学大学院で在宅看護専門看護師(CNS)を目指し、学童期の発達の子どもと家族の支援をテーマに研究を進めている。自閉スペクトラム研究大会や在宅看護学会での発表、書籍執筆など、臨床知を体系化し発信する活動にも注力。板橋区全事業所連絡会役員や訪問看護ステーション所長会代表幹事、板橋区地域ケア会議運営委員会などの経験を経て、多職種・行政連携を牽引し、地域包括ケアの実装に取り組んでいる。

Introduction

ショートケーキ訪問看護ステーションの所長・齋藤は、急性期の循環器看護、訪問看護ステーションの立ち上げや管理運営、そして地域看護の中核としての役割など、多彩な経験を積んできた看護師だ。その根底にあるのは、いつも変わらず 「目の前の人の困りごとに、まっすぐ寄り添いたい」 という思い。本記事では、齋藤が訪問看護を選んだ理由、発達障害児支援に深く向き合うようになった原点、地域での活動、そしてショートケーキ訪問看護ステーションに込めた想いを紐解いていく。やさしい語り口の奥にある、静かな熱と確かな信念を感じてほしい。

Q. 看護師として歩んできた中で、訪問看護を選んだ理由は何ですか?

子どもと家族のありのままに寄り添う訪問看護を。

 実は、私には先天性心疾患(ファロー四徴症)の弟がいます。小さい頃から母が弟のために病院を探し回る姿を見て育ちました。その経験があり、「家で暮らしたいと願う弟を自分の手で支えたい」という気持ちから循環器病棟を選びました。
 急性期の現場は刺激的で学びが多い一方で、退院していく患者さんの背中を見送りながら、「この先の生活はどうなるんだろう」という思いがいつも残りました。もっとゆっくり、その人の人生に寄り添いたかった。
 ちょうどその頃、訪問看護で働く先輩が「訪問看護って本当に楽しいよ」と笑顔で話してくれたんです。その言葉が私の背中を押し、訪問看護という新しい世界へ踏み出しました。

Q. 発達障害のある子どもと家族の支援に深く向き合うようになったきっかけは?

その電話の向こうに、かつての自分の家族を見た。

 訪問看護に転身して間もない頃、初めて発達障害のある小学生とそのお母さんから相談を受けました。
「病院で、小学5年生だからリハビリは終わりと言われてしまった」
「放デイにも馴染めず、家で支援してくれるところを探して何十件も電話してきた」

 必死に声を振り絞るお母さんの姿に、私は自分の母を重ねました。弟の病院を探し回っていた母と、同じ熱量と不安を感じたのです。そのとき私は、正直にこう思いました。子どもの発達支援の経験はまだ少ない。でも、この家族の力になりたい。そしてお母さんに伝えました。
「経験は多くないですが、大人の発達障害の方の支援経験はあります。大人になるまで一緒に頑張らせてください」
 その言葉に「お願いします」と涙ぐんでくれたお母さんの姿は、今でも忘れられません。 支援が始まってからは、経験のある先輩や仲間に何度も相談し、必死に学び続けました。
 この出会いが、私にとって “発達障害児支援に向き合う覚悟” を決定づけた瞬間でした。

Q. 大学院での研究に進んだのは、その経験が背景にあるのですね。

現場のなぜに向き合うために、学びの道を選びました。

 はい。
 発達障害のある学童期の子どもとその家族を支える仕事は、医療・福祉・教育が複雑に交わる領域です。「誰が、どこまで、どう支援するか」が曖昧なため、支援が届きにくくなってしまうこともあります。

 だからこそ、私は在宅看護専門看護師(CNS)を目指し、大学院で 「学童期発達障害児と養育者への訪問看護実践」 を研究しています。 現場で感じた違和感を言語化し、再現性のある支援に変えていく。

 そのために、実践と研究の往復は欠かせないと感じています。

Q. 地域での連携にも積極的に取り組んでいますね。

支援は点ではなく、地域という面で届けたい。

 私は訪問看護ではなく 「地域看護」 をしていると思っています。訪問看護は30〜60分の点ですが、利用者さんの生活は24時間続いている。

 支援は、その人の生活全体・地域全体を見て初めて成立します。子どもの場合、家より学校で過ごす時間が圧倒的に長い。

 ならば、学校の先生や友達へ発達特性の理解を届けることも地域看護です。仕組みを広げることで、支援からこぼれ落ちる子を減らすことができます。

 また、私は災害看護にも関心があり、「顔の見える関係があれば、災害時に人を助けられる」 という思いから、地域の居酒屋さん・和菓子屋さん・せんべい屋さんなどに足繁く通っています。消防団にも加入し、日頃から地域の人たちとつながるようにしています。

 地域の人を「支援対象」としてではなく 同じ地域で暮らす仲間として関係をつくること。 これが、私の地域看護の原点です。

Q. ショートケーキ訪問看護ステーションは、どんな場所を目指していますか?

その家族だけの 特別なケーキ”を、一緒につくる場所。

 私が思い描いているのは、“オーダーメイドのケーキをつくるパティシエが集まる場所” です。
 子どもと家族には、一人ひとり異なる背景や強み、苦手があります。だからこそ、その子と家族の話をじっくり聞いて、「その家族だけのケーキ」 をつくるように、オーダーメイドの支援を届けたい。

 ただ、主役はあくまで子どもと家族。私たちはパティシエであり、ケーキを囲む家族の笑顔をそっと支える存在です。

 子どもが「できた!」と笑えること、家族が「ひとりじゃなかった」と思えること。

 その小さな瞬間を積み重ねていけるステーションにしたいと思っています。

ご家族と、これから働く仲間へメッセージ

ご家族へ。

 子育てには、見えない努力や言葉にできない葛藤がたくさんあります。
 今日まで本当によく頑張ってこられました。その歩みを私は心から尊敬しています。
 支援は子どもだけにあるのではなく、親御さんにも必要です。
 どうか、ひとりで抱え込まず、私たちに一緒に悩ませてください。

仲間になる皆さんへ。

 訪問看護で何より大切なのは、知識や技術よりも熱量 だと思っています。
「困っている人が目の前にいたら助けたい」その気持ちがあれば、必ず成長できます。
 ここは、一緒に学び、一緒に笑い、一緒に挑戦できる場所です。
 そしていつか、日本中の子どもと親の笑顔を、仲間として一緒につくれたらうれしいです。

この記事は、下記の方々にぜひお読みいただきたいと思って作成しました

  1. 児童思春期の精神科訪問看護の所長を目指している方
  2. 社会的に影響力の大きい仕事がしたい方

ショートケーキにご関心を持たれた、看護師やセラピストの方は、ぜひ採用ページからお気軽にご連絡ください。